10年ぶりに名郷先生のEBMワークショップ


そんな論文読んでいるなら、病棟へ行け!、カルテを書け!

(右端が名郷先生)論文を読むくらいなら、患者1人1人の生き方のアウトカムを想像せよ。
 論文を読むなら、良質な論文をさっさと(短時間で)読んで、患者と悩め。


 11月13日[金]小雨降るなか、東京大学の日本薬剤疫学会で、「薬剤疫学とEBM」名郷直樹(東京北社会保険病院)先生のワークショップに参加。「薬剤疫学領域でのEBMの実践手法を単なる一方通行の講義でなく,実際の論文を読みながらスモールグループ討論・ロールプレイなどを織り交ぜつつ学びます」との参加要項のとおり、リラックスしながらチュートリアルのヒントが満載のワークショップだった。

PECOのチュートリアルTips

Q1 自分が患者だった何が心配か?10個書こう!(もう書けないところで、あと2個)
Q2 となりの人と質問を共有しよう
Q3 医師役と患者役でロールプレイ
Q4 どんな質問がもっとも重要だったか?→グループワーク
Q5 グループでPECO
Q6 真のエンドポイントと代用のエンドポイントの例を作ろう!


 私たちは患者さんを治すのであって、論文はちょっとのことしか教えてくれない。
 だから、最初は5Sで手を抜いて、良質な判断からはいって、歩いてポイなのだ。

論文を読むTips

Q7 ACP journarのA4で1枚を各自読もう!(1人読み→2人読み)
Q8 グループワーク(重要な点は?、デザインのよい点悪い点、結果は何?)

・論文は歩いて読む
 そのためには、「簡単なまとめからはいる=5S」

 Systems;Computerized decision support
 Summeries;UP TO DATE, Evidence based on call, OVID
 Synopsis;ACP,EBM journal, POEMs
 Synthesis;Cochrane(CDSR,DARE)
 Studies;Cochran(CCTR),Pubmed(Clinical Queries)

・最新版の英辞郎は、PDFファイルもポップアップ検索してくれる
・批判的吟味は、この3段階で教育する。
1)まず3つ:研究方法は妥当か?、結果は何か?、患者に役に立つか?
2)JAMAの5つ
3)Consortの21

 ここまでで、3時間。ここで休憩。
 残り1時間で、患者へのあてはめ。


患者のためのTips

・有意差がないからダメではない=思考が止まる
 →信頼区間は、母集団に返すから幅がある。p値で判断しない。
・「そんなことがあるかも知れない」幅で考える
・ITT(日本語で読んでも「いとしたとおりのちりょう」
 NNT(日本語で読んでも「なんにんちりょうするか」

 10年ぶりの名郷先生の話は、「これで解決する!」といったものではなく、「これは患者への関わり方」というメッセージに私には聞こえた。

 何度もくり返すが、論文は答えをくれない。

あいまであるがゆえに、共有、評価、反省をし、学習をつづけることが重要

 今年はなぜか、東京大学医学部教育研究棟での勉強が多い。猛暑だったり、大雨だったりばかりだが。お時間があれば、先生はいつでも応援しに来てくれる、とおっしゃられた。よろしくお願いいたします。

治療をためらうあなたは 案外正しい

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