自分で行動を決めるための2週間ビュー

「生のごくわずかな部分にすぎぬ、われらが生きているのは」
(「セネカ哲学全集1」セネカ


 時間の管理には、いくつもの方法が提案されています。そもそも時間を管理したいとは、「その時間の行動を管理したい」という要望だと思います。そうすると、時間を見えるようにして、脚本を書くように、何をして過ごすのか?、というプランを決めていく必要があります。



 私たちは「1週間」で緩急をつけて時間を過ごしているので、1週間を基本単位とします。そして「2週間」を一覧できれば、来週やっておくことがつねに見ることができますね。2週間をつねに見ていると、実際に身体がその作業をしなくて、頭の中で自動的に仕込み作業がはじまります。よって、「2週間」を一覧することがのメリットかな、と。



1.手書きのノートで見開きで2週間
 ノートを開いて、14日分のスケジュールを書き出します。そうすると思った以上に、時間がないこと、来週発生することが、手に取るようにわかります。手書きは、情報密度が高さや手軽もよいですが、「書くことでわかる」ことが一番の効用だと思います。



2.Google カレンダー
 予定が変更になったら、クリックで移動できますから便利です。ToDoリストは使わず、やることは、すべてGoogleカレンダーに落とし込みます。1時間に3つ以上のタスクは入れないようにしているので、やらない仕事も明確になります。



3.OSXのカレンダーなら「2週間ビュー」できる
 Macの「Mountain Lion」に付属しているカレンダーアプリも便利です。なんとこちらは、Googleカレンダーでは不可能な「時間軸を表示しながら、2週間表示」ができるので、たいへん重宝しています。オフラインでも問題なく変更もできるので、不便がありません。




 そして、できれば、その時間に何をするのか管理するということは、何のためにやるのか、という人生の目的(purpose)や価値観(principal)に照らしたいですね。それらは、達成できるプロジェクトというよりも、つねに私たちが達成しようとする目的や価値観として。




気づき)
 ・OSXでカレンダーを2週間にする方法メモ
 ・ターミナルを起動して「defaults write com.apple.iCal "n days of week" 14」で、2週間ビュー
 ・「defaults delete com.apple.iCal "n days of week"」とすればもとにもどります。

セネカ哲学全集〈1〉倫理論集 I

セネカ哲学全集〈1〉倫理論集 I

「在る」だけでも個性でしょう

 ぶうと云いって汽船がとまると、艀が岸を離はなれて、漕ぎ寄せて来た。
 船頭は真っ裸に赤ふんどしをしめている。
 野蛮な所だ。
(「坊ちゃん」夏目漱石


 ある日、女の子(たぶん4歳くらい)に「未来ってなに?」と聞いたら、「みらいって、これからひとがいきていくばしょのことよ」と答えてくれたことが、今でもすごく衝撃的で、それからというもの、私も「自分の知っている言葉で説明をする勝負」をしています。自分とは付き合いの浅い抽象的な言葉やカタカナに逃げない。


やりだす前のワーク「それって、なに?」とまず自分に聞いてみる
http://d.hatena.ne.jp/MotoNesu/20120712/1342049086


 で。


 先週のスタッフの問いかけのつづき。
「人の生き方は、その人の時間の使い方に現れる。時間の使い方は習慣そのものだし、習慣を決めるのは性格だ。私とスタッフは、ちがう。」などと、少々かっちょいいことを書いてしまいました。



 では、生き方を決める「性格」って何か?、という問い。
 もっといえば、性格は個性と違うのか、同じなのか。


<個性とは>人のパーソナルのことで、おおよそ標準とされている範囲を逸脱したもの
<性格とは>個性にもとづく、その人の好き嫌いや興味関心のこと


 どうでしょう?
 ちがうかな・・・



 ちがうなっ。というのも、個性は範囲を逸脱しなくても、そのなかに「在る」だけでも個性ですから。何もすごいことをやったり、すんごい悪行をしてインパクトがあることが個性ではないから。個性的というときには、インパクトがつく感じがする。でも個性って、そうじゃなくて「在る」だけでも個性でしょう。むしろ「唯一無二」の自分という意味で、ユニーク(unique)な存在であることだ。



 ほら、カタカナ使っちゃってるし。ルール違反。



 個性か。



気づき)
 ・「個性だせっ」っていわれるけれど、あれってツラいですよね。
 ・当たり前のことが、何なのか仮説を作る
 ・「在る」だけでもユニークな「個性」を作っているもとは何か?


坊っちゃん (角川文庫)

坊っちゃん (角川文庫)

無為の事に処り、不言の教えを行なってみたい

聖人は、無為の事に処り、不言の教えを行なう。
老子


 20代のころに、UNESCOで日本の薬害を発表をしたことや患者会のニュースレターにエッセイを連載していたことを見つけ出した若いスタッフが、「自分と同じ年なのに、どうして、あんなにいろいろやっていたのですか?」と聞いてきました。


 
 で、思わず、自分史を語ってしまいそうになりました。



 しかし、ちょうどその日は「老子」を手にしていて、
 「無為の事に処り、不言の教えを行なう。」
 これってナンダロウな、、、
 という問いと愉快に格闘していたので、語ることをグッとがまんしました。




  ・どうしてこの若いスタッフは、私に質問をしてきたのか?
  ・スタッフ自身も何かをやりたいと思っているのか?
  ・私のやってきたことについての感想か?
  ・ただ、私と話しをしたかったキッカケか?


 という、問いが頭を駆け巡り、にっこりしながら
 「どうして、そんなこと聞くんだっっけ?」とスタッフにリターンしました。


 すると、
 「ええっと、自分と同じ年なのに、すげえな、っと思って」



 ふうん。



 私は、スタッフに、こう生きたらいい、という地図を渡すことはできない。それは、明日は何が起こるかわからないし、君と僕が感じる価値は違うから。スタッフ自身のなかにある「コンパス」を見つけて、自分で歩いて行ってほしいと思っている。人の生き方は、その人の時間の使い方に現れる。時間の使い方は習慣そのものだし、習慣を決めるのは性格だ。私とスタッフは、ちがう。



 無為の事に処り、不言の教えを行なう。



気づき)
 ・いい問いかけをありがとうね
 ・私は聖人ではないけれど、スタッフには示せる人でありたい
 ・簡単なことは、いくらでも教えるよ

老子 (講談社学術文庫)

老子 (講談社学術文庫)

副作用の定義って何だっけ?、使い慣れた用語の定義を確認しておこう

よく注意してほしい。
その名前を教えられる前、君は、ただ自分は自分であると思っていた。
(「14歳からの哲学」池田晶子

 副作用の定義について、あらためて確認をしておきたくなりました。というのも、ふだん「副作用」というけれど、その定義って何なのか?、確認をしたくなったため。よく引用されている副作用の定義から、メモ。



 1972年WHOのadverse drug reaction の定義

「疾病の予防、診断、治療のため、もしくは生理的機能を変える目的で薬物を投与したとき、人体に通常使用される量によって発言する有害かつ予期しない反応」
A response to a drug which is noxious and unintended and which occurs at doses normally used in man for prophylaxis, diagnosis or therapy of disease or for modification of physiological function. (WHO technical report 498, 1972)


 1995年「治験中に得られる安全性情報の取り扱いに関するガイドライン(E2A)」

「投与量にかかわらない、医薬品に対する反応のうち、有害かつ予期しない反応(医薬品に対する反応とは、有害事象のうち当該医薬品との因果関係が否定できないものをいう)」

All noxious and unintended responses to a medicinal product related to any dose should be considered adverse drug reactions. The phrase "responses to medicinal products" means that a causal relationship between a medicinal product and an adverse event is at least a reasonable possibility. i.e the relationship cannot be ruled out. (ICH E2A,1995)

気づき)
 ・WHOでおおざっぱな副作用の範囲についての定義、ICHで投与量関係ないよ、って感じかな
 ・ノートに手書きして、身体で感じると引用の理解もちがう気がする
 ・現場でこそ、定義の再確認を

14歳からの哲学 考えるための教科書

14歳からの哲学 考えるための教科書

学生さんと実習を進めながらカリキュラムの補強


最上のもの をこの世に生み出したいという願いは、
意志となり、私の持てるものを高めてくれました。
プ ロジェクトは人間を成長させます。
(「プロジェクト学習の基本と手法―課題解決力と論理的思考力が身につく」鈴木敏恵)

 ポートフォリオとプロジェクト学習で、薬学生の11週間実習について作成したプラン。今回も、新しい学生さんと実習を進めながら、プランを見なおしていきたいと思います。



 まず1週目にオリエンテーションポートフォリオの説明。2週目から1つ目の病棟を担当しながら、他職種研修も始まります。
 もとポートフォリオをだんだんふくらませて、4〜5週目くらいに、もとポートフォリオに「自分が関心をもったこと」「よくわからなかったこと」を付箋を付けて、自分にとっての興味や関心に目を向ける。6週目は1つ目の病棟が最終週なので、症例発表。
 7週目から2つ目の病棟担当。9週目に11週目のプレゼンテーションまでの説明。プレゼンテーションでは、「2つの症例報告とコア・カリキュラムをつなぐ」模造紙の作成、患者さんやスタッフとコミュニケーション場面で「次はこうする!」提案の作成をします。
 発表当日は、大学の先生方もお呼びしながら、もとポートフォリオやパーソナルポートフォリオも展示してプレゼンテーション。終了後、学生自身の「成長報告」を書きます。



 11週間の実習予定

週目 主な予定 プロジェクト学習の予定
薬局内 オリエンテーションポートフォリオ&プロジェクト学習とは?
病棟1 1つ目の病棟担当にはいる、パーソナルポートフォリオ発表、薬剤師の仕事を知る
病棟1 薬剤師の仕事を知る→ポートフォリオに入れる
病棟1 薬剤師の仕事を知る→ポートフォリオに入れる
病棟1 テーマポートフォリオのゴールとビジョンを決める
病棟1 病棟1の症例報告、テーマポートフォリオのゴール確認、計画
病棟2 2つ目の病棟担当にはいる、テーマポート情報収集
病棟2 テーマポートフォリオ情報収集
病棟2 テーマポートフォリオ発表準備
10 病棟2 テーマポートフォリオのプレ発表
11 病棟2 病棟2の症例報告、発表、自分の成長

*他職種の実習
 検査室、リハビリ室、ME室、各病棟(看護部)、放射線室、往診、栄養課、地域連携室・相談室、手術室



<検討中のこと>
 プロジェクト学習なので、テーマポートフォリオとしてビジョンとゴール(とくに患者さんとのコミュニケーション)を設定して進めたい。学生さん自身の力量や実習のコア・カリキュラム自体のボリュームも相当なので、ここをどうするか。



気づき)
 ・学生さんの個別性も考慮しながら
 ・指導薬剤師チームとも連携して
 ・まず私自身が習熟すること


プロジェクト学習の基本と手法―課題解決力と論理的思考力が身につく

プロジェクト学習の基本と手法―課題解決力と論理的思考力が身につく

ノートに書いて自分のものにしたら、たいていの本は捨てられる

読書に際しての心がけとしては、読まずにすます技術が非常に重要である。
(「読書について」ショウペンハウエル, Arthur Schopenhauer

 読書のことについては、これまでも何度か書いてきました。ただでさえ、小さなスペースの本棚を整理したくなりましたので、メモ。



1.書籍代はお小遣いの「半分」を目安に
 お小遣いの半分を書籍代にするという提案は、いかがでしょうか?。お金のかかる趣味がなければ、「小遣い半分」は、きっと可能でしょう。無料の情報が氾濫するなか、本のなかには著者の心あるメッセージが込められていますから、費用価値は十分なはずです。



2.まず買ってしまう
 「あっ、これいける」と思ったら、私は本を買ってしまいましょう。私の経験では、一度気になった本は、結果的に買ってしまうことがわかりました。ずっと気にして、アイドリングしているよりは、そのときに買ってしまう方が、時間も気持ちもスッキリです。



3.鉛筆でメモして、ノートに記録して捨てる
 みなさんは、本に書き込みをしていますか?。万が一のときは消すこともできるので、私は、鉛筆で書き込んでいます。1冊30分で読んだとしたら、30分はノートに書く時間です。本棚に残そうと思ったり、大切に読むよりも「使う」とか「付き合う」ことが大切かな。



気づき)
 ・しばらく長く付き合いそうな本
 ・1回通読して、メモをすればよい本
 ・3つくらいポイントをいただければよい、おやつ本

[新訳]読書について 知力と精神力を高める読み方

[新訳]読書について 知力と精神力を高める読み方

ポートフォリオにいれるものはちゃんとリストで渡そう

明日を当てにすることを少なくしようとするためには、今日をしっかりと確保しておけばよい。
先延ばししているあいだに人生は走り過ぎてしまうのだから。
(『セネカ哲学全集5 倫理書簡集I』セネカ

 ポートフォリオに何を入れたらいいのかわからない、とよく質問をいただきます。そういう私も、学生さんや新人さんに「ポートフォリオに入れておきな〜」とそのまま声をかけています。でも、「入れておこう!」だけで、本当にポートフォリオは膨らむのでしょうか?




 テキストを参考にしてみましょう。
 鈴木敏恵「プロジェクト学習の基本と手法―課題解決力と論理的思考力が身につく」教育出版



 P.177には、ちゃんと書いてありますね。「ポートフォリオに入れるもの」。
 ここには、ポートフォリオに本来入っているべきものがリストになっています。
 しかも、フェーズごとに。


 親切なことに、
  ・下書きなど思考や作業の途中のメモなども必す入れる。
  ・フェースや活動ごとの「目標」「評価」なども入れる。
 と、注意書きまで。




気づき)
 ・「できるかな?」と心配する前に、このリストをちゃんと学生さんや新人さんに渡してみましょう。
 ・私も今回は、目に見えるこのリストをちゃんと学生さんに配布してみました。
 ・さて、薬学生の「もとポートフォリオ」は、今回もちゃんとふくらむかな?


プロジェクト学習の基本と手法―課題解決力と論理的思考力が身につく

プロジェクト学習の基本と手法―課題解決力と論理的思考力が身につく