2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

責任を持って夢を語ることについて

日本病院薬剤師会第40回関東ブロック学術大会に参加。上野 直人(The University of Texas M. D. Anderson Cancer Center)先生のご講演からメモ。 1.医師と薬剤師の間 日本でも専門認定薬剤師化が活発です。今後は、pill counter調剤師と薬剤師というprac…

カンジダ菌血症でCVカテーテルを早期に抜去しても予後は改善しない

カンジダ菌血症candidemiaの患者は、中心静脈カテーテルcentral venous catheter (CVC)を、早期に抜去することが、標準的なケアとなっています。しかし、早期の交換(24時間)は、多変量解析で予後改善を示せなかったという報告。 842名のカンジダ菌血症の患…

病院薬剤師のためのライフハック59)シンプルを選ぶ

「いちいちそんなことを考えているの?」といわれそうですが、シンプルを意識しています。シンプルは、本質的でよく伝わり、イメージしやすく、応用が効くからです。 シンプルさについては、「物」との関わりにもつながります。学生時代、祖母の2階の畳部屋…

ビスフォスフォネートと食道がんリスク

ビスフォスフォネートと食道癌のリスクについては否定的、との報告。 データベースUK General Practice Research Databaseより、1996年から2006年までの間で、食道がんと胃がんの発生頻度をビスフォスフォネートの服用患者と服用していない患者で比較したコ…

医薬品評価制度後の薬害

「医薬品評価制度ができた中で起こってしまった薬害ということで、イレッサこそきちんと検証しないと、第二、第三のイレッサを防ぐことは決してできない。」永井弘二事務局長(西日本訴訟原告蛮語談) 「薬害根絶の碑」の前で、手を合わせる。 命の尊さを心…

なぜ叱らない?

週末の日本病院薬剤師会第40回関東ブロック学術大会(長い)のポスター準備をしていたら、「これ、見難いです」とあっさりと職員から一言。大学の研究畑で過ごしてきた彼からすると、「目的がはっきりしない」「展開に一貫性がない」「数値も間違っている…

セルフコーチをしたときの自分評価

鈴木敏恵の連載「クオリティーオブキャリア」看護管理2010.7より 先週の土曜日に、プロジェクト学習を学びに横浜に。小学校の先生や、看護師さん、さまざまな事例を浴びてきました。コーチング、カウンセリング、EBMと同様に、学びは支える側自らも学ぶ側…

病院薬剤師のためのライフハック58)制約を見分ける

インテルの共同創業者ゴードン・ムーアが「集積回路におけるトランジスタの集積密度は、18〜24か月ごとに2倍になる」と予測したとおり、小学生のころには考えられないマシンが、手のひらに乗るようになりました。 一人に頼らず相互に助け合いながら、全体で…

医療制度改革―先進国の実情とその課題

たとえば、「低成長下の日本で、超高齢化社会を乗りきる方法を述べよ」と質問を受けても、何らかの返答ができるくらいの頭の余地は作っておきたいものです。 医療改革には、しばしば相互に矛盾する4つの目的に、あたかも4つ裂きにされている状態である。 …

Go for it & Go for broke

iPhoneのアプリに、"methodology – creative inspiration flashcards"という格言アプリがあります。英語アプリなので、助けがないと、何ら役にたちません。 たとえば、今日の格言は、"Go for broke"でした。どういう意味でしょう? Go for 「〜に行く」+bro…

抗てんかん薬で治療中の患者の自殺関連イベント

バルプロ酸、カルバマゼピンなどの抗てんかん薬は、プラセボと比較して2倍の自殺率であると、2008年2月に「抗てんかん薬による自殺関連行為等についてのお知らせ [米国での注意喚起について]」が各社から、通知されました。 2008 年 1 月 31 日、米国食品医…

世界を眺める心の窓

2002年のノーベル経済学賞は、経済学者たちの間で一つの事件として知られています。経済学者ではないダニエル・カーネマンDaniel Kahnemanという心理学者が、受賞者の一人だったからです。どういて心理学者である彼が、受賞をしたのでしょうか。 伝統的な経…

病院薬剤師のためのライフハック57)「もしドラ」、ヘッセと教養の世界

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら作者: 岩崎夏海出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2009/12/04メディア: 単行本購入: 265人 クリック: 12,967回この商品を含むブログ (1008件) を見る 会議がはじまる前に「も…

カルシウムの過剰摂取も心筋梗塞に注意

骨粗鬆症にカルシウム摂取は定着しましたが、カルシウムの摂取によるリスクも懸念されています。何を注意すべきか、考えながら読みたい論文です。Clinical Evidenceなどでは、どう整理されているのか、気になるところです。 15のRCT(毎日カルシウムを500mg…

薬害を覚悟する本19)ゾフィー21歳―ヒトラーに抗した白いバラ

薬害スモンのときの厚労省班長甲野先生の言葉。「自分にとってあれは、『季布の一諾』だった。スモンという非常に泥臭い、社会的には泥水を被るような中であっぷあっぷしながら自分もやってきた。しかし、やはり今考えてみると、ウイルス学者がウイル ス説を…

医療従事者にインフルエンザワクチン接種キャンペーン

米国、カナダでは、医療従事者のインフルエンザワクチン接種率は、50%以下と低いようです。医療従事者に強制的にインフルエンザワクチンの接種を5年間行い、98%以上の摂取率を維持したVirginia Mason Medical Centerの報告。 気づき) ・日本の医療従事者…

AEDって、やっぱり効果ありますか?

公共のAED(自動体外式除細動器(automated external defibrillation: AED)の普及が、院外心停止後の生存を改善するかどうかは明らかになっていませんでした。3月に発表された論文ですが、公共AEDの普及効果を証明した世界最初の論文。 2005年1月1日から20…

病院薬剤師のためのライフハック57)Kindleと洋書の夕べ

余暇は洋書を愉しめたらいい、と計画しているのですが、急に読めるようになるはずもなく、いまできることを楽しく続けたいと思っています。 iPhoneにはいっているamazonのKindleアプリを使用しはじめて、おどろく体験をしました。 ・Kindle版は安い!(円高…

セロトニン5-HT2c受容体アゴニストのロルカセリンによる体重減少

選択的セロトニン5-HT2c受容体アゴニストのロルカセリンlorcaserinが、体重減少に効果があるかもしれないという報告。これまでの体重減少薬fenfluramineやdexfenfluramineは、受容体の選択性が低く、肺高血圧症などのリスクがあった。 二重盲検臨床試験で、3…

WIIFM「それで、わたしはどうなるの?」

孔子のいう「益者三友」とは、「自分の利益になる三種の友だちとは?正直な人、誠実な人、そして多くの見聞がある人。」という意味だそうです。こういう人は、きちんといつでも挨拶ができて、いい結果を持ってくる。そんな気がします。 がんばっているんだけ…

目次機能でわかりやすく伝える

話をする前に、これから何を話すのか?目次を紹介しておくと相手に伝わりやすいことが多いです。私は、これを「目次機能」と呼んでいたのですが、同じようなことを元NHKアナウンサーの池上彰さんが「リード」という言葉で説明をされています。 まず「話の…

供給停止品目の対応手順メモ

もう4月のことですが、非ステロイド性抗炎症薬の外用剤、アンダーム軟膏とクリームが欧州で承認取り消しとなりました。薬事委員会事務局長の立場としては、委員会で検討する前に、どのようなことを確認しておくべきでしょうか? (供給停止品目の対応手順メ…